彼とはじめて会ったのは、むせ返るような夏の日。
尾張町のとある老舗の前で無心に筆を動かす彼を見た。
通りむかいの軒先でジリジリするような夏の日ざしを遮りながら彼はいた。
「何を描いているんですか・・・」
深く皺を刻んだ彼の顔がどっしりと風格のある建物を指した。


 夏の日の出合いから、はや9年が過ぎようとしています。この間に園崎氏に描いていただいた色紙は100枚を越え、金沢の街も少しずつですが変化を見せております。近年は、御高齢のため色紙を携えて街へ出られることも、めっきり少なくなってしまった氏ですが、このページを通して1人でも多くの方に園崎氏の金沢の街に対する想いを感じていただければ幸いです。
                     カメリアイン雪椿  沢野 茂明


裏通りの家並み

 「金沢って意外と都会だね。おおきいビルもたくさんあるし・・・」金沢駅に着いたお客様からよく聞くお話です。でも地図を片手にちょっと裏通りをまわってみてください。昔懐かしい優しい金沢が其処でみつかるはずです。特にお勧めは、卯辰山から東山、浅野川辺りにかけて。迷路に迷い込んだような鏡花の世界が広がります。

主計町東山町屋東山町屋東 廓東廓冬景
寿 屋中村美術館長 町尾張町紺屋坂


男川と女川

金沢の町を流れる二本の川、犀川と浅野川。町の西を流れるのが男川・犀川。東端の優しい流れが女川・浅野川です。三つの丘に抱かれた二筋の流れが金沢の景色に趣を加えます。

浅野川梅の橋
犀 川蛤 坂